5月29日(金) 創立242周年記念式典および記念講演が行われた。
この創立記念行事は、天明4年(1784年)の創立から長きにわたって受け継がれてきた本校の歴史を再確認し、未来へとつなぐ意義深い行事である。
記念式典では、野本準二館長から、廃藩置県によって全国の藩校が廃校となる危機に、欧米留学の経験から英語の重要性を痛感した金子堅太郎先輩が、黒田藩の支援を得て英語専修修猷館として修猷館の名を存続させた歴史や、1964年東京オリンピック組織委員会会長を務められた安川第五郎先輩のはからいで本校に五輪旗が保管されている逸話などを紹介しながら、242年の歴史と伝統の重みについて式辞が述べられた。
記念講演では、本校昭和54年卒で、現在、TBSでニュースキャスターと番組編集長の「二刀流」をこなしておられる松原耕二先輩より講演をいただいた。
平日毎晩放送されている「報道1930」の番組作りにおいては、専門家も唸る面白さ、深さを感じてもらえる、物語が流れるような90分を目指していると述べられた。幼少期から喋ることよりも聞くことが好きで、メディアの世界に入ってからもそれは変わらず、ソフトバンク会長孫正義氏への密着取材、沖縄の基地の中と外の両方に深く入り込んだドキュメンタリーなども含め、これまで数千回のインタビューをこなされた。中でもスタンガンを突き付けられながらキューバのカストロ議長の話を聞いたエピソードは、当時の写真を紹介しながら語られ講堂をどよめかせた。
現役の音楽プロデューサーやRKBアナウンサーも聴きに来られた興味深い語りの中で、演題の「先の見えない時代をどう生きるか」が示す通り、混迷する世界の中で若き修猷生がどう生きていくべきかについて大きく3つのアドバイスをいただいた。
1.好きなことを見つける。←好きな番組製作なら徹夜してでも頑張れる。
2.早くから目標を持つ。←孫会長や大谷選手は早くから具体的目標を持って「僕には時間がない。」と語る共通点があった。しかし、大切なのは焦らず、自分のペースで目標を見つけていくことだ。
3.今できる正しいことをする。←執筆した物語の中でサグラダファミリア建築に携わる人道支援家に語らせた言葉:誰もが大聖堂の最終的な姿を見ないまま死ぬだろう。それでも続けるのはなぜか。それが正しいことだと知っているからだ。
その具体例の一つが、「問いを発し続けること。」これは、報道を通して正しい歴史観、世界観を身につければ、「答えを見つけることは難しくても問を発することはできる。」という講演冒頭の主張につながる。構成も含めて非常に深い話に多くの生徒が感動を覚え、盛会に幕を閉じた。
以下は生徒感想文より一部抜粋したものである。
○Aさん
松原さんの思いを知って、メディアに対する印象も変化した。発信するだけでなく、番組の中の人も行動的に一緒に深く考えようとする姿勢を感じ、ニュースを見る側の私たちも享
受するだけの存在ではないと思った。
○Bさん
テレビ離れが進んでいる昨今だが、編集長でもある松原さんのお仕事を知り、手軽に見られるSNSだけでなく、多くの人が関わり、長い時間をかけてつくられたテレビ番組を見る時間も自分は残したいと思った。
○Cさん
「他人の評価は関係ない。最終的にどんな結果になるかは分からないが、そのことを続ける。なぜなら、それが正しいと知っているから。」という言葉に感銘を受けました。
○Dさん
白か黒かをはっきりさせるのではなく、グレーの中で相手を理解しようと歩み寄ることが今を生きる私たちに求められているのだろう。特に興味深かったのが、沖縄の基地問題に対して、アメリカと沖縄ではなく、本土と沖縄の温度差について言及されたこと。私にはなかった視点だった。
○Eさん
報道は、現実で起こった事柄を参照する特性上、終わりなき作業であり、大聖堂の建設にたとえられていたことが印象的だった。自分の好きなことを上手く仕事に昇華させる姿勢が今後のキャリア選択を左右させると考えた。



