11月12日(月)本校講堂にて「文化講演会」が開催された。
講師: 森田真生(もりたまさお)氏(33)
(数学をテーマとした著作・講演活動などを行う独立研究者)
演題: 数学を通して「人間」を考える
内容要約: 数学は近代ヨーロッパでは、哲学と密接にかかわる学問であった。つまり、人間の思考方法に「新しいものの見方」をつくり出すものであった。
人間の本質は、同じ質問を与えられても一人ひとりが異なる応答をするというものであるが、数学は「1つの答え」に我々を導く。「正しい答えが1つある」ということ自体、実際は人間にとっては不自然な状態なのである。数学はその意味において、私たち人間の思考を「縛る」ものである。その自覚的に自分を縛るという「ルールに従って思考する行為」を積み重ねることによって私たちは英知を発達させ、その英知にアクセスできるのだ。しかし、それは「理論」が進歩した結果であって、人間自体が進歩したのではない。従って、ルールにしたがって思考する(follow the rules)と同時に、messy, noisyなものにどう対応するか(go with flow)が人間の知能の根源であり、その行為が人間自体の進歩につながる。人間はその困難に数学というフレーム(新しいものの見方)を与えてきた。(本校担当者による)
森田氏は、数学に関する歴史上の様々な人物にふれながら、スピーディかつわかりやすく説明され、生徒に圧倒的な感動を与えた。森田氏が独立研究者としてフリーな立場で活躍されている姿に、生徒たちは、「messyなものから何かを思考し、学ぼうとする」生き様を見て取ったと思われる。